〖Pri〗テオ
甘い小雨が降っている。 柔らかく、何の意味もない夜だ。 『明日行こうか?』とディーユが言った言葉を、頭の中だけで何度も転がしている。 そう言われて当たり前のような態度を取ってしまった。「今夜は無理なんだね」 なんで愚鈍な態度だろうと、後になっ…
#30dayうちの子語りchallenge (@todomaguro0様よりお借りしました!) day1 30daysで語るキャラクター 名前:テオ職業:MEプリ(支援スイッチ)外見:薄緑色セミロング 灰色の目 やわらか 容姿端麗内面:好奇心旺盛 自信と余裕day2 誕生秘話 ふんわり優しげ…
『遠いかの地に夢を馳せることは知恵のひとつだが、それに囚われるのは愚かな行為だ。私たちはこの地に約束された恵みを受け取り、その責務を果たさなければならない。』 読み上げた講師の声は明瞭だった。 残念なのはその声の聡明さに見合うだけの知恵も意…
宿部屋でテオが出したハチミツを見たディーユは、ふいに笑ってこう言った。 「ああ、恋人の日だから?」 テオが貰ったハチミツだ。 くれたのは、教会の同僚だった。たくさんあるからお裾分けなのだと彼女は言っていて、渡されたのは透き通った琥珀色をした小…
ココモビーチに行ってきたという彼の話を聞いて、テオが思い浮かべたのは浜辺に並べたデッキチェアに寝転がるディーユだ。派手な柄のサーフパンツに、前なんて少しも閉めないラッシュガード。フルーツのささったカクテル片手に、サングラスをかけたまま寝転…
【分岐点の夜| A turning point in my life.】 【 Theo 】 ディーユくんと出会った日の夜、彼はそんな話をしてから突然、糸が切れたように眠ってしまった。心地のいい寝物語が終わってしまって、俺はしばらく彼の寝顔を眺めたまま、その静かな余韻を味わっ…
【プロローグ | Prologue】 少しだけ、俺の話をしようか。 シュヴァルツバルト領の僻地。ミッドガル大陸にあって、ルーンミッドガッツ王国の恩恵という名の監視を受けていない街。すべての支配からうまく逃げおおせた水の都。それがアルデバラン――俺の育っ…