〖BS〗クトノ

欄干と思い出ランチ

「おい」と、真上から掛けられた声に、クトノは顔を上げる。何かとてつもない既視感を覚え、いやそんな客観的な判断を下すまもなく、反射的に――まったくいつもの通りにその声の方向へ振り返れば、そこにはやはり直感どおり、その男がいた。王城堀の大通りか…

噂話

「そういやアイツ、カノジョできたぜ」 「…は?」 たっぷり間を置いて、十秒、頭の中で飛びかった色々な言葉たちを何一つ捕まえることが出来ず、クトノはそうオウム返しに尋ねた。 「……カノジョ?」 「そう、カノジョ」 クロウはつまらなさそうに同じ言葉だ…