〖Assa〗スルガ

『ナイトのレニ』が加入する事について

レニは正直、今日が約束の日だということを、すっかり忘れていた。 だからぼんやりと宿でコーヒーを飲んでいた昼下がり、イアーゼが「待たせたな」と自分のテーブルにやって来たとき、何のことだか分からなさ過ぎて、芝居か何かなのかと疑ったほどだ。面倒く…

微力(11)

7-1 パリンと、ガラスの割れる音が夜の路地に鳴り響いた。グラスか窓か酒瓶か、何がどういう経緯で割れたのかは分からない。どこで割れたのかにも、さほど気にならない。その後に続く怒声や悲鳴も、この街の夜を体現する記号の一部でしかない。 スルガは自分…

微力(10)

6 コンコン、とノックされたドアの音は、おそらく非常にささやかだった。 けれど意識の覚醒まぎわだったスルガは、その音にガバリと飛び起きる。他人の気配だ。視線はほとんど無意識にいつものテーブルを探す。 テーブル――がない、いつもの位置に、カタール…

恋愛相談

「でも俺は基本的に、ヤったもん勝ちかなって思うよ」 紫煙と共に、プリースト、ツイードがそう吐き出した。それを隣で聞いていた彼の恋人のアサシン、スルガが、まるで言い訳のように飛び上がって否定する。 「いや! 慎重に行こうよ、そこはさ。好きな子で…

アイドルのツイードさんと、ガチ担のスルガさん

※現パロ ツイード:アイドル スルガ:強火担 「今日、休みですよ」 ツイードが声をかけると、店の入り口に立っていた男、スルガが背後に振り返った。彼はこちらの姿を見たとたんに面白いぐらい目をまんまるにしてパチパチさせた後、「あ、あ…」と言葉にもな…

スルガ #30day

#30dayうちの子語りchallenge (@todomaguro0様よりお借りしました!) day1 30daysで語るキャラクター 名前:スルガ 職業:アサシン(クリティカル型) 外見:水色髪 緑目 平凡 内面:頼りなさげ 根本はドライ day2 誕生秘話今までのキャラクター相関図とは…

微力(9)

5-5 「俺……今、なんで謝られてます……?」 スルガは、困惑したまま半笑いで首を傾げていた。 「え。さあ、なんででしょうね」 結論が出たツイードは、自分の中の折り合いがついたものだから、頭の中の荷物が全部きれいに片付いたせいで、細かいことはどうでも…

微力(8)

5-4 宿は、酒場と目と鼻の先にあった。 古いがシンプルな造りの安宿で、入口の掲示板以外は壁に何もかかっておらず、カーペットすら敷かれていない。 ツイードの借りている部屋は、三階の廊下の突き当り右手側だ。 狭く長い廊下を歩くツイードの後ろを、スル…

微力(7)

5-2 実際のところ、今日やらなければならない用事なんて本当はなかった。 プロンテラの街を散漫に歩きながら、ツイードは暮れかけの空を見上げる。 行く当てはないが、このまま帰るのも嘘をついていたみたいでなんだか嫌だ。仕方なく、ツイードの足は教会へ…

微力(6)

4 「あれ、スルガさん一人じゃん」 スルガが昼過ぎのたまり場でいつもの石段に腰かけていると、そこにやって来たのはマシューとオーフェンだった。二人はこのたまり場では有名なハンターとプリーストのコンビだ。 「ちわ」 「ちわーっス」 スルガがまだたま…

微力(5)

3-3 ミョルニール山脈の北奥地にある鉱山の炭鉱。かつてはミョルニール炭鉱として多くの鉱物や石炭が排出されたが封鎖されてもう長い。そこにモンスターが住み着きダンジョンのような巣窟と化してからは、その廃鉱は冒険者のかっこうの狩場となっていた。 ス…

微力(4)

2 東プロンテラの雑多な酒場通りの一角。割とよく来る店のカウンターで、オレンジ色のランプをぼんやり眺めていたツイードに、後ろから声がかかった。 「よう」 通りのいい声。振り返れば、サラエドがそこにいた。たまり場常連の一人であるハンター、マシュ…

微力(3)

1-5 「だー! 吐くな! 吐くなよ!?」 酔った騎士、ルシカをおぶったまま、ハンターのマシューが心配そうにそう叫んでいる。 「どりょくする…」 だらんと腕を垂らし、彼女は青ざめた顔でうなだれた。 いつのまにか仲間内もそこそこに飲んだらしく、酒場の一…

微力(2)

1-3 「寒ッ!」 「うっわ、さむ」 久しぶりに出したポータルをくぐれば、そこは一面銀世界。冬の街、ルティエだ。突然変わった気温に背筋がぎゅっと縮み上がる。 シーズン中なら屋台やら人混みやらでまだ少しは温かみもあるだろうけれど、季節外れで人の気配…

微力(1)

1-1 その日のプロンテラは晴れていた。 天の高いところに流れる白い雲をいくつか乗せただけの、あまりに青い爽快な空が広がっていた。教会の薄暗い部屋から出てきたばかりのツイードは、出口の扉を後ろ手に閉め、眩しい空に眼を細める。今日もいい天気だ。け…

やらせろ談義

「ツードさんは、俺が性欲の魔獣になったらどうするんですか」「ん?」「ツードさんは」「ん? ん? スルガさん、一旦ビール置きましょうか」「いや、酔ってませんよ」「いいからいいから」「いや、違いますよ、酔ってはいますよ、酔っ払い諭すような感じや…