〖Wiz〗イアーゼ

アップルパイとクリスマスリング

「お前、腹減ってるか」 前を歩いていたイアーゼが、突然振り返ってそう聞いた。石畳を見ながら歩いていたジェナードは、顔を上げて「え」と一度立ち止まり彼女を見る。プロンテラ王立図書館の帰り道、時刻は昼を過ぎてから少し経つぐらいの頃合いだった。 …

場末の砂ぼこりのような違和感

良いけど俺、既婚者だぜ?と笑って断るビジャックは好きだった。あの男に相手にされようなんていう身の程知らずの女が、隣でバッサリ切られていくのも、見ていて痛快だった。それは大抵、酒場で、しかも首都ではない遠征先の町々で、かつイアーゼが隣で飲ん…